東京高等裁判所 昭和25年(う)190号 判決
原審が所論の検察官の証人大岡ヨシノの尋問請求につき決定をなすに当り特にその立証趣旨を聴くことなく又これに関する被告人弁護人の意見をも聴かなかつたことは記録上明らかである。しかし右証拠調の請求は検察官において被告人がその取調に同意しなかつた大岡ヨシノの買受始末書及び同人の供述調書の取調請求に替えてこれをなしたものであるからその立証趣旨は曩の書面について述べたものと同一であることは暗黙の中に訴訟関係人すべてに了解せられているわけであつて改めてこれを聴くに及ばないことであり、又証拠調の決定をするについて相手方の意見を聴かないことはもとより刑訴規則第一九〇条第二項に違反するものではあるが右決定施行前はもとよりその後にも原審において被告人及び弁護人からこれにつき何等かの異議が述べられたことは記録上認められないわけであるから、今日更めてこの点を争うことはその性質上許されないばかりでなく、一面斯かる違反が判決に影響を及ぼすものでないことも亦明らかなところであるから論旨は結局これを採用することができない。
(註 本件は量刑不当により破棄自判)